恩送りとは?意味と恩返しとの違い|受けた恩を次の人へ
恩送りとは、受けた恩をくれた人に返すのではなく、別の誰かへ送ることです。恩返しとの違い、言葉の由来、英語の「ペイ・フォワード」との関係、暮らしの中でできる恩送りの例を、やさしく説明します。

誰かに助けてもらったとき、「いつか恩返しをしなきゃ」と思いますよね。
でも、その人にはもう会えない。何を返せばいいのかわからない。そんなこともあります。
そこで知っておきたいのが「恩送り(おんおくり)」です。恩送りとは、受けた恩を、くれた人ではなく、別の誰かに送ることです。
恩送りの意味と恩返しとの違い
恩送りは親切のバトン
恩送りは、親切のバトンのようなものです。
- AさんがBさんを助ける
- BさんはCさんを助ける
- CさんはまたDさんを助ける
こうして、親切が人から人へ、次々とつながっていきます。
Aさんに直接お返しをしなくてもいい。その分、次の人に手をさしのべる。それが恩送りの考え方です。
恩送りのよいところは、親切が止まらないことです。お返しをしたら、そこで終わり、ではありません。受けとった人がまた誰かに送るので、思いもよらない遠くまで届いていきます。最初に親切をした人は、その広がりを知らないままかもしれません。それでも、親切はたしかにつながっています。
恩返しとの違いは「誰に返すか」
二つの違いは、誰に返すかです。
- 恩返し … 恩をくれた、その人に返す
- 恩送り … 恩をくれた人とは別の、ほかの誰かに送る
恩返しは、二人のあいだで行ったり来たりします。恩送りは、外へ外へと広がっていきます。
どちらがよい、というものではありません。恩返しができるなら、それもすてきなことです。恩送りは、恩返しがむずかしいときの、もう一つの道とも言えます。
恩送りの由来
江戸時代の書物にも
「恩送り」という言葉は、江戸時代の書物にも出てくると言われます。ただ、そのころは「恩返し」とほとんど同じ意味で使われていたようです。
井上ひさしが広めた意味
いまのような「次の人へつないでいく」という意味を広めたのは、作家の井上ひさしだと言われます。受けた恩を別の人へ送り、それがまた次の人へ渡っていく。そんな善意のつながりを「恩送り」という言葉で表しました。
英語の「ペイ・フォワード」
英語には「pay it forward(ペイ・イット・フォワード)」という言い方があります。意味は、恩送りとよく似ています。
この言葉は、アメリカの小説『ペイ・フォワード』と、それをもとにした映画で広く知られるようになりました。国はちがっても、同じような考え方があるのはおもしろいですね。
暮らしの中の恩送り
恩送りは、大きなことでなくてかまいません。たとえば、こんなことです。
- 若いころ先輩に教わったことを、後輩に教える
- 子育てで助けてもらった分、近所の子に声をかける
- 道に迷った人に、駅までの道を教える
家族の中の恩送り
いちばん大きな恩送りは、家族の中にあるのかもしれません。
親に育ててもらった恩を、親に全部返すのはむずかしいものです。その代わり、自分の子や、次の世代を大切に育てる。そうして、命と心は代々つながってきました。
ご先祖さまから受けとったものを、次の人へ送る。家族の歴史は、恩送りの歴史とも言えます。
よくある質問
恩送りは、恩返しをしなくていいという意味ですか?
そうではありません。恩返しができるならするのもよいことです。恩送りは、返す相手がいないときや、返しきれないときに、恩を次へつなぐ考え方です。
恩送りは何から始めればいいですか?
自分が助けてもらってうれしかったことを、一つ思い出してみてください。それと同じことを、誰か一人にしてみる。それが最初の恩送りです。
今日の一歩
あなたが受けとってきた恩は、どこから来たのでしょう。
親から、祖父母から、その前のご先祖さまから。目には見えなくても、たくさんの人の手を通って、いまの自分に届いています。
その流れを一度ながめてみたいときは、家系図診断から始めてみてください。
文・つっちー



