思いやりの意味と語源|「思い遣る」に込められた日本人の心
思いやりの意味と語源をやさしく解説します。「思い遣る」が遠くへ心を向けることを表していた話や、やさしさとの違い、日本の暮らしに残る思いやりの形、今日からできる小さな思いやりを紹介します。

「思いやりのある人になりなさい」。子どものころ、そう言われた人も多いでしょう。
思いやりとは、相手の立場や気持ちを想像して、心をくばることです。語源は「思い遣(や)る」。もとは、心を遠くへ向ける、という意味の言葉でした。
思いやりの意味
思いやりは、目の前の人だけでなく、その人の気持ちや事情まで想像することです。
- 重い荷物を持っている人に、ドアを開けておく
- 落ちこんでいる友だちに、そっと声をかける
- 疲れている家族のために、静かにしておく
どれも、相手の気持ちを先に考えた行動です。
思いやりの語源「思い遣る」
「遣る(やる)」は、何かを向こうへ送る、行かせる、という意味です。
ですから「思い遣る」は、自分の思いを、遠くへ送ること。古い時代には、遠く離れた人や場所に心を向け、思いをはせることを表していたと言われます。
旅に出た家族を案じる。離れて暮らす人を恋しく思う。そうした気持ちから、やがて「相手の身になって考える」という今の意味へ広がっていきました。
見えない相手を想像する力
語源を知ると、思いやりは「想像する力」なのだと分かります。
目の前にいない人、言葉にしない気持ち。それを思いうかべるからこそ、思いやりが生まれるのです。
思いやりとやさしさの違い
よく似た言葉に「やさしさ」があります。
- やさしさ … おだやかで、人にあたたかく接する性質
- 思いやり … 相手の気持ちを想像して、心をくばる働き
やさしさは、その人の性質。思いやりは、相手に向けた心の動き。そう考えると、違いがつかみやすいでしょう。
だから、思いやりはときに「何もしない」形をとることもあります。そっとしておくのも、相手を思ってのことだからです。
暮らしに残る思いやり
日本の暮らしには、思いやりから生まれた習わしが多くあります。季節のあいさつ状や、お見舞いの品選び。相手の負担にならないよう心をくばる工夫は、思いやりの形と言えるでしょう。
たとえば、暑い夏に出す「暑中見舞い」。相手の体を気づかう便りです。お見舞いに行くときに、香りの強い花や長居を避けるのも、相手を思ってのことです。
言葉にあらわれる思いやり
ふだんの言葉にも、思いやりはかくれています。
- 「お足元の悪い中」… 雨の日に来てくれた人をいたわる
- 「つまらないものですが」… 相手に気をつかわせないための、へりくだり
- 「お手すきのときに」… 相手の都合を先に考える
どれも、相手の立場に立って選ばれた言葉です。言い方ひとつで、気持ちはやわらかく伝わります。
思いやりが空回りするとき
ただし、思いやりのつもりが、相手には負担になることもあります。よかれと思った手助けが、「自分でやりたかったのに」と思われることもあるでしょう。
迷ったときは、「何か手伝えることある?」と聞いてみるのがいちばんです。相手の気持ちを確かめることも、立派な思いやりです。
よくある質問
思いやりは漢字でどう書くの?
「思い遣り」と書きます。ふだんは「思いやり」とひらがなを交えて書くことが多いです。
思いやりは育てられる?
相手の気持ちを想像するのは、練習で少しずつ身につくと言われます。「あの人は今どう感じているかな」と考えるくせをつけることが、第一歩です。
今日の一歩
今日、離れて暮らす家族や友だちを一人思いうかべてみてください。その人が今どんな毎日を送っているか、少しだけ想像してみましょう。
それこそが、もとの意味での「思い遣り」です。自分につながる家族のことをもう少し知りたくなったら、家系図診断から始めてみるのもおすすめです。
文・つっちー



