「生きがい」の意味とは?語源と、海外で広まった図の話
「生きがい」の意味は、生きていてよかったと思える張り合いや、生きる値うちのことです。「かい(甲斐)」の語源、神谷美恵子『生きがいについて』の考え方、海外で広まったikigaiの図との違いをやさしく紹介します。

「生きがい」とは、生きていてよかったと思えるような張り合いや、生きる値うちのことです。「生き」と、効き目や値うちを表す「かい(甲斐)」が合わさった言葉です。
大きな夢や立派な仕事だけが、生きがいではありません。毎朝のお茶や、孫の笑顔のような、小さなことも生きがいになります。
「生きがい」の意味と語源
意味
辞書では、「生きるはりあい」「生きていることの喜びや値うち」などと説明されます。
ふだんの会話では、こんなふうに使います。
- 「庭の手入れが、祖母の生きがいだった」
- 「子どもの成長が、いちばんの生きがいです」
- 「生きがいを感じる仕事がしたい」
人によって、生きがいはさまざまです。同じ人でも、年齢や暮らしによって変わっていきます。
若いころは仕事、子育て中は子ども、年を重ねてからは趣味や地域の集まり。そんなふうに、生きがいの中心が移っていく人も多いでしょう。一つだけでなく、いくつもの小さな生きがいを持っている人もいます。
「かい(甲斐)」の語源
「生きがい」の「がい」は、「かい」がにごったものです。
「かい」は、「やったかいがあった」「努力のかいもなく」と言うときの「かい」です。行動したことの効き目や、それだけの値うちを表します。
国語辞典によると、この「かい」は、「代わる」という意味の古い言葉「かう」から生まれたとされます。何かをしたことの「代わり」に得られるもの、というわけです。
「甲斐」という漢字は、音を借りて当てた字(当て字)とされます。
同じ形の言葉に、「やりがい」「働きがい」「生きがい」などがあります。どれも「それをするだけの値うちがある」という気持ちを表します。
神谷美恵子『生きがいについて』
生きがいを深く考えた本として知られるのが、精神科医の神谷美恵子(かみや・みえこ)が1966年に出した『生きがいについて』です。
神谷は、ハンセン病の療養所で働いた経験から、この本を書きました。生きがいには、二つの面があると考えました。
- 生きがいのもと … 人に生きがいを感じさせるもの(家族、仕事、趣味など)
- 生きがい感 … 生きがいを感じている心の状態
外から見て恵まれているかどうかとは別に、人は生きがいを感じたり、失ったりする。そしてまた見つけ直すこともできる。そんな見方は、いまも多くの人に読み継がれています。
海外で広まった「ikigai」の図
近ごろは、海外でも「ikigai」という言葉が知られています。「好きなこと」「得意なこと」「世の中が必要としていること」「お金になること」の四つの円が重なる図を、見たことがある人もいるでしょう。
ただ、この図はもともと別の目的で描かれた図に、2014年ごろ「生きがい」の言葉を重ねたものと言われます。
図そのものは、自分の仕事や進む道を考えるときの道具として役に立ちます。けれど、日本語の「生きがい」とまったく同じではありません。
日本語の「生きがい」は、お金や才能がそろわなくてもいいものです。「縁側で日なたぼっこをする時間」も、立派な生きがいになります。
よくある質問
生きがいがないのは、おかしいこと?
おかしなことではありません。生きがいは、探して見つけるだけでなく、日々の中で少しずつ育つものとも言えます。
生きがいと、やりがいの違いは?
やりがいは、ある仕事や行動をする値うち。生きがいは、もっと広く、生きること全体の張り合いを指すことが多いです。
今日の一歩
おじいちゃんやおばあちゃん、親に「若いころ、何がいちばん楽しかった?」と聞いてみてください。
その人の生きがいを知ることは、その人の人生を知ることです。家族の話から、ご先祖さまの暮らしも見えてきます。聞き方のコツは家族に聞く七つの質問にまとめています。
文・つっちー



