ごちそうさまの語源と意味|「馳走」は走り回ってもてなすこと
ごちそうさまの語源と意味をやさしく解説します。漢字で「御馳走様」と書く理由、「馳走」が走り回ってもてなすことを表す由来、豪華な料理を指すようになったわけ、だれに向けた言葉なのかをまとめました。

食事のあと、手を合わせて「ごちそうさま」。毎日のように言う言葉ですが、その意味を考えたことはありますか。
ごちそうさまの語源は「馳走(ちそう)」です。馳走とは、もとは走り回ること。お客さんをもてなすために、あちこち走り回って食べものを用意してくれた人への、お礼の言葉なのです。
ごちそうさまの語源「馳走」
「ごちそうさま」は、漢字で「御馳走様」と書きます。
- 馳 … 馬を走らせる、かける
- 走 … 走る
どちらも「はしる」という意味の字です。つまり馳走は、もともと「走り回ること」を表す言葉でした。
昔は、今のようにお店で何でも手に入るわけではありません。お客さんをもてなすには、馬を走らせたり、自分の足で歩き回ったりして、食材を集める必要がありました。
そこから、馳走は「心をこめてもてなすこと」、さらに「もてなしの料理」を表すようになったと言われます。
「ご」と「さま」がつく理由
「馳走」に、ていねいな「ご(御)」と、敬う気持ちの「さま(様)」がついて、「ごちそうさま」になりました。
「ごちそうさま」が食後のあいさつとして広まったのは、江戸時代ごろからと言われます。
だれに言っている言葉?
ごちそうさまは、料理を作ってくれた人だけに向けた言葉ではありません。
食材を育てた人、運んだ人、集めてくれた人。食事のために動いてくれた、たくさんの人たちへのお礼と考えることができます。
「ご馳走」が豪華な料理を指すようになったわけ
今は「ごちそう」と聞くと、お祝いの日の豪華な料理を思いうかべます。
もとは「走り回ってもてなすこと」でしたが、手間をかけて用意した料理は、ふだんの食事よりぜいたくになります。そこから、ごちそうは「特別な料理」という意味でも使われるようになったと言われます。
「今日はごちそうだね」という言葉の奥にも、だれかが走り回ってくれた、という昔の意味がかくれているのです。
ほかにもある「馳走」の言葉
「馳走」を使った言葉は、ほかにもあります。
- ご馳走になる … 人にごはんをおごってもらう
- ご馳走する … 人にごはんをふるまう
- お茶の一杯もご馳走できず … もてなしが行き届かなかったと、へりくだる言い方
どれも、相手をもてなす、もてなされる、という意味がもとになっています。
「いただきます」との違い
食事の前の「いただきます」と、あとの「ごちそうさま」は、よく対になります。
- いただきます … 食べる前。命や恵みを受け取る言葉
- ごちそうさま … 食べたあと。用意してくれた人へのお礼の言葉
「いただきます」にこめられた意味は、別の記事でくわしく紹介しています。ここでは、ごちそうさまが「人の働きへのお礼」という面が強い言葉だ、と覚えておくとよいでしょう。
よくある質問
「ごちそうさまでした」と「ごちそうさま」の違いは?
意味は同じです。「でした」をつけると、よりていねいになります。目上の人にごちそうになったときは、「ごちそうさまでした」が安心です。
外食でも「ごちそうさま」と言っていいの?
もちろんです。お店を出るときに「ごちそうさまでした」と伝えると、作った人にもお礼の気持ちが届きます。
今日の一歩
今日の食事のあと、作ってくれた人の顔を見て「ごちそうさま」と言ってみてください。自分で作ったときは、食材を育てた人を少し思いうかべてみましょう。
家の食卓には、その家ならではの料理や決まりごとがあります。祖父母の家でよく出た料理を聞いてみると、思わぬ家の歴史が見えてきます。聞き方のヒントは家族に聞く七つの質問にまとめています。
文・つっちー



