亡くなった人が夢に出てくるのはなぜ?日本の受け止め方
亡くなった人が夢に出てくるのはなぜなのか。「会いに来てくれた」「夢枕に立つ」など、日本で昔から言い伝えられてきた受け止め方と、夢を見たあとの心の向き合い方を、やさしく紹介します。

亡くなった祖母が、夢の中でいつものように笑っていた。父が何か言いたそうに、こちらを見ていた。
目が覚めたあと、うれしいような、さびしいような、不思議な気持ちになった。そんな経験をした方は、少なくないと思います。
この記事では、亡くなった人が夢に出てくることを、日本の人たちがどう受け止めてきたのかを紹介します。答えを決めるものではなく、ひとつの見方として読んでみてください。
昔から語られてきた「夢枕に立つ」
日本には「夢枕に立つ(ゆめまくらにたつ)」という言葉があります。亡くなった人や神仏が、夢の中にあらわれて、何かを伝えることを表す言葉です。
昔話や古い物語にも、夢で大切なことを知らされる場面がたくさん出てきます。夢は、ふだんは会えない存在とつながる場所だと考えられてきたのです。
和歌にも、夢で人に会う心がよまれています。平安時代の歌人、小野小町の歌です。
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(『古今和歌集』)
「思いながら眠ったから、あの人が夢に出てきたのだろうか。夢だと知っていたら、目を覚まさなかったのに」という意味です。亡くなった人の歌ではありませんが、会いたい人に夢で会うという気持ちは、千年以上前から変わらないのかもしれません。
よく言われる受け止め方
亡くなった人が夢に出てきたとき、日本ではこんなふうに受け止められることが多いようです。
- 会いに来てくれた … 「元気でやっているよ」と顔を見せに来てくれた
- 見守ってくれている … 遠くからではなく、すぐそばにいてくれる
- 思い出してほしい … お墓参りや手を合わせる時間をつくるきっかけ
- 自分の心が会いたがっている … 会いたい気持ちが、夢の形になってあらわれた
どれが正しい、というものではありません。言い伝えとしての受け止め方もあれば、心の働きとしての見方もあります。
心の面からは、大切な人を亡くしたあと、心がゆっくりと別れを受け止めていく中で、夢に出てくることがあるとも言われます。
怖い夢やさびしい夢を見たとき
夢の中の故人が、悲しそうだったり、何も話してくれなかったりすると、「何か悪いことの知らせでは」と不安になる人もいます。
けれど、夢の内容で何かが決まるわけではありません。夢は、そのときの体調や気分にも左右されます。必要以上に意味を探して、自分を責めなくて大丈夫です。
気になるときは、こんなふうに過ごしてみてください。
- 夢の中で会えたことを、まず「ありがとう」と受け止める
- 仏壇やお写真の前で、少しだけ話しかけてみる
- 家族に「夢に出てきたよ」と話してみる
家族に話すと、「私も最近見たよ」「おじいちゃん、そういうところあったね」と、思い出話が広がることがあります。
夢を見た日の日付や、どんな様子だったかをメモしておく人もいます。あとで読み返すと、その人との思い出を静かにふり返る時間になります。
もし眠れない日が続いたり、気持ちがしずんだままだったりするときは、ひとりで抱えず、身近な人や専門の窓口に相談してください。
今日の一歩
夢に出てきた人のことを、家族にひと言話してみてください。「どんな人だったの?」と聞くと、あなたの知らなかった一面が見えてくるかもしれません。
故人の思い出を聞くときの話の広げ方は、家族に聞く七つの質問にまとめています。
文・つっちー



