虫の知らせの意味と由来|体の中の「虫」という昔の考え方
虫の知らせの意味と由来をやさしく解説します。体の中に虫がすむと考えた昔の人の感覚、「腹の虫」など今も残る言葉、言い伝えとしての受け止め方まで、不安にならずに向き合うためのヒントをまとめました。

「なんだか胸さわぎがする」「急にあの人のことが気になった」。そんな感覚を、昔から「虫の知らせ」と呼んできました。あとから思えば、あれは知らせだったのかもしれない。そう感じた話を、身近な人から聞いたことがある方もいるでしょう。
この記事では、虫の知らせという言葉の意味と由来、そして言い伝えとしての受け止め方を紹介します。
虫の知らせとは
虫の知らせとは、はっきりした理由はないのに、何かが起こりそうだと感じることを言います。とくに、離れて暮らす家族や親しい人の身に何かあったとき、その前ぶれのように感じた出来事を指すことが多い言葉です。
- 急にその人の夢を見た
- なぜか気になって電話をかけたくなった
- 理由もなく胸がざわざわした
こうした感覚を、昔の人は「体の中の虫が知らせてくれた」と表現したと言われます。悪い出来事だけでなく、うれしい知らせの前にも使われることがあります。
体の中に「虫」がいるという昔の考え方
心や気分を動かす「虫」
昔の日本では、人の体の中には「虫」がすんでいて、気分や感情を左右すると考えられていたと言われます。ここでの虫は、目に見える昆虫ではありません。心の動きを、体の中の小さな生き物にたとえたものです。
今でも、その名残の言葉がたくさん使われています。
- 腹の虫がおさまらない(怒りがおさまらない)
- 虫の居所が悪い(きげんが悪い)
- 虫が好かない(なんとなく好きになれない)
- 疳の虫(かんのむし。子どもの夜泣きやかんしゃく)
どれも、自分ではどうにもならない気持ちを「虫のせい」と表した言葉です。
庚申信仰の「三尸(さんし)の虫」
体の中の虫という考え方には、中国から伝わった道教の影響もあると言われます。人の体には「三尸の虫」という三匹の虫がいて、庚申(こうしん)の夜に体を抜け出し、その人の行いを天の神に報告する、という言い伝えです。
この虫を体から出さないように、庚申の夜は眠らずに過ごす「庚申待ち」という風習が、各地で行われていたと言われます。
こうした考え方が重なり、「虫が何かを知らせる」という表現が生まれたのではないか、という説があります。
言い伝えとしての受け止め方
虫の知らせは、科学で説明できるものではありません。ただ、大切な人を思う気持ちから生まれた、やさしい言葉だと受け止めることもできます。
離れて暮らす家族のことを、ふだんから心のどこかで気にかけている。その思いが、ふとした瞬間に胸さわぎとして表れる。そう考える人もいます。
一方で、胸さわぎがしたからといって、必ず何かが起こるわけではありません。不安になりすぎず、こんなふうに受け止めてみてはいかがでしょうか。
- 気になった人に、軽く連絡してみる
- 「元気?」と声をかけるきっかけにする
- 何もなければ、それでよしと安心する
虫の知らせを、家族とつながり直す合図として使う。それくらいの気持ちで向き合うのがよさそうです。胸さわぎが続いてつらいときは、ひとりで抱えこまず、身近な人に話してみるだけでも気持ちが軽くなることがあります。
家族に「不思議な話」を聞いてみる
今日できる小さな一歩は、家族に「虫の知らせのような体験はある?」と聞いてみることです。
祖父母や親から、昔の不思議な話や、ご先祖さまにまつわる思い出が出てくるかもしれません。そうした話は、家族の歴史を知る大切な手がかりにもなります。
上手に話を引き出すコツは、家族への聞き方にまとめています。聞いた話は、忘れないうちに書きとめておきましょう。
文・つっちー



