八百万の神とは?意味と読み方|数えきれない神さまの考え方
八百万の神とは、山や川、火や水、台所やかまどまで、あらゆるものに神さまが宿るという日本の考え方です。読み方「やおよろず」の意味と由来、古事記に出てくる場面、暮らしに残る神さまたちをやさしく紹介します。

八百万の神(やおよろずのかみ)とは、「数えきれないほどたくさんの神さま」という意味です。
山や川、海、木や石、火や水。さらには台所やかまど、道具にまで神さまが宿る、という日本の古い考え方をあらわす言葉です。
八百万の神の意味と読み方
「八百万」は「やおよろず」と読みます。
- 八百(やお) … 八百
- 万(よろず) … 万、つまり一万
かけ合わせると八百万(800万)になりますが、ちょうどその数の神さまがいる、という意味ではありません。「とても多い」「数えきれない」ことをあらわす言い方です。
日本では昔から、「八」は数の多さや、末広がりをあらわす数として使われてきました。「八百屋(やおや)」や「嘘八百」の「八百」も、同じように「たくさん」という意味です。
八百万の神の由来|古事記に出てくる場面
八百万の神という言葉は、奈良時代にまとめられた『古事記(こじき)』にも出てきます。
よく知られているのは、天岩戸(あまのいわと)の話です。
太陽の神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、岩の戸の奥に隠れてしまい、世界が真っ暗になりました。困った八百万の神々は、川原に集まって相談します。歌や踊りでにぎやかに笑い合い、外のようすが気になった天照大御神が戸を少し開けたところで、外へ連れ出した、という話です。
このとき、神々の一人が鏡や玉を用意し、別の神が祝詞(のりと・神さまへの言葉)をとなえ、また別の神が力強く戸を開けた、と伝えられています。それぞれが自分の得意なことで力を出したのです。
一人の力ではなく、たくさんの神さまが知恵を出し合う。この場面には、日本の神さまの姿がよくあらわれていると言われます。
暮らしの中の八百万の神
八百万の神の考え方は、今の暮らしにも残っています。
- 山の神・田の神 … 春に山から下りて田を守り、秋に山へ帰る、と言い伝える地域があります
- かまど神・荒神(こうじん)さま … 台所や火を守る神さまとして、まつる家がありました
- トイレの神さま … 地域によっては、トイレにも神さまがいるとして、きれいにする習わしがあります
- 付喪神(つくもがみ) … 長く使った道具には魂が宿る、という言い伝えです
また、大きな木や岩に、しめ縄が張られているのを見たことはありませんか。神さまが宿るもの、あるいは神さまが降りてくる場所として、昔からうやまわれてきたしるしです。こうした神さまの宿るものを「依り代(よりしろ)」と呼ぶこともあります。
ものを大切にする気持ちや、「いただきます」と自然にお礼を言う心も、この考え方とつながっていると言われます。
ひとつの神さまだけを信じるのではない
八百万の神の考え方では、神さまは一人ではありません。土地ごと、家ごと、ものごとに神さまがいて、それぞれ役目がちがいます。
そのため、いろいろな神さまを同時に大切にすることも、自然なこととされてきました。ただ、どの神さまをどうまつるかは、地域や家によって違います。
よくある質問
八百万の神は、全部で何柱いるの?
決まった数はありません。神さまは「一柱(ひとはしら)、二柱」と数えますが、八百万は「数えきれない」という意味なので、数え上げることはできないのです。
ご先祖さまも神さまになるの?
神道では、亡くなったご先祖さまが、やがて家を見守る神さま(祖霊)になる、という考え方があります。ただ、宗派や家の考え方によって受け止め方は違います。
今日の一歩
家の中で、長く使っている道具を一つ選んでみてください。茶わん、はさみ、古い時計。何年使っているか思い出しながら、ていねいにふいてみましょう。
ものに心を見る日本の感覚は、家紋にも通じています。わが家の紋を一人の人物として描くとどうなるか、家紋を人にするで楽しんでみてください。
文・つっちー



