鷹の羽紋の意味と由来|違い鷹の羽と浅野家・阿蘇神社
鷹の羽紋の意味と由来をやさしく解説します。強い鳥・鷹の羽は、勇ましさを表す紋として武士に好まれました。違い鷹の羽と並び鷹の羽のちがい、菊池氏や赤穂の浅野家など使った家、阿蘇神社の神紋とのつながりをまとめました。

鷹の羽紋(たかのはもん)は、鷹の羽を図にした家紋です。鷹は強く勇ましい鳥なので、その羽は武士に好まれ、勇ましさを表す紋として使われました。
二枚の羽を交差させた「違い鷹の羽(ちがいたかのは)」がよく知られ、十大家紋(じゅうだいかもん。とくに多く使われる十の家紋)の一つに数えられています。
鷹の羽紋の由来と意味
鷹は、昔から武士に大切にされた鳥です。鷹を使って獲物をとる「鷹狩り」は、身分の高い人の楽しみでした。また、鷹の羽は矢羽(やばね。矢の後ろにつける羽)にも使われました。
鷹の羽を描いた紋として古いものは、鎌倉時代の『蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)』に見られます。元寇(げんこう)で戦った肥後(熊本)の武士・菊池武房(きくち たけふさ)の旗に、二枚の羽を並べた「並び鷹の羽」が描かれているのです。
菊池氏は、もっと前の平安時代の終わりごろから鷹の羽を使っていた、という記録もあります。
鷹の羽紋の種類
鷹の羽紋は、羽の並べ方で名前が変わります。
- 違い鷹の羽 … 二枚の羽を、ななめに交差させた形
- 丸に違い鷹の羽 … 違い鷹の羽を丸で囲んだ形。家紋でよく見かけます
- 並び鷹の羽 … 二枚の羽を、平行に並べた形
- 一つ鷹の羽 … 羽が一枚だけの形
羽には、黒いまだらの模様(斑・ふ)が描かれます。このまだらの数や形でも、紋の種類が分けられます。全部で60種類以上の形があると言われます。
見分けるときは、まず羽の枚数と並べ方を見ます。交差していれば違い鷹の羽、平行なら並び鷹の羽です。次に、まわりの丸のあるなしを確かめます。
似た紋に「矢羽(やばね)」の紋があります。矢羽は、矢の後ろにつける羽を描いたもので、羽の根元に矢の軸が描かれることがあります。鷹の羽は、羽そのものを描いた紋なので、軸の形に注意すると区別しやすくなります。
鷹の羽紋を使った家と阿蘇神社
阿蘇神社の神紋
熊本県の阿蘇神社は、「違い鷹の羽」を神紋(神社の紋)にしています。
阿蘇神社を守ってきた菊池氏が鷹の羽を使ったことには、阿蘇神社から夢で幕の紋を授かったからだ、という話も伝わっています。こうしたつながりから、鷹の羽紋は九州、とくに南九州に多く見られると言われます。
浅野家
広島藩主の浅野家は「丸に違い鷹の羽」を使いました。浅野家の流れには、赤穂藩の浅野長矩(あさの ながのり)もいます。江戸城で吉良上野介に斬りかかり、「忠臣蔵」の物語のもとになった人物です。そのため、忠臣蔵の芝居や絵でも、この紋がよく描かれます。
そのほかの家
江戸時代には、およそ120の大名・旗本の家が鷹の羽紋を使ったと言われます。備後福山藩の阿部家、下総関宿藩の久世家(くぜけ)などが知られています。
鷹の羽紋は、九州だけでなく、京都や東京など、武家の政治の中心だった土地にも多く見られると言われます。武士の紋として、各地に広がっていったことがわかります。
同じ鷹の羽でも、家ごとに羽のまだらの描き方がちがいます。「浅野鷹の羽」「井上鷹の羽」のように、家の名前がついた形もあります。
よくある質問
家紋が鷹の羽なら、武士の家?
そうとは限りません。鷹の羽紋は、江戸時代以降に多くの家へ広まりました。紋だけで、先祖の身分は決められません。
違い鷹の羽の、羽の重なり方に決まりはある?
右の羽が上か、左の羽が上かは、家によってちがいます。自分の家の紋を確かめるときは、どちらの羽が上かも見てみてください。
今日の一歩
家のお墓や、古い着物の紋を見る機会があったら、羽の重なり方に注目してみてください。右が上か、左が上か。その小さなちがいが、家の紋を確かめる手がかりになります。
勇ましい鷹の羽の紋は、どんな人の姿になるでしょう。家紋を人にするで、鷹の羽の紋を人の姿にしてみましょう。
文・つっちー



