鶴紋の意味と由来|長寿の鶴、鶴の丸・舞鶴と南部氏の向かい鶴
鶴紋の意味と由来をやさしく解説します。長寿のしるしとされた鶴の姿、鶴の丸や舞鶴などの代表的な形、南部氏の「向かい鶴」まで。自分の家の家紋を調べるきっかけにどうぞ。

鶴紋とは?長寿とおめでたさのしるし
鶴紋(つるもん)は、鳥の鶴をかたどった家紋です。
羽を広げた姿や、首をまるめた姿など、いろいろな形があります。
鶴は昔から、おめでたい鳥とされてきました。
「鶴は千年、亀は万年」ということわざを聞いたことがある方も多いでしょう。
長生きの象徴として、鶴は亀と並んで親しまれてきました。
また、鶴はつがいで仲よく暮らす鳥として知られます。
そのため、夫婦円満や家が長く続くことへの願いを重ねる人もいました。
婚礼の衣装やお祝いの品に鶴の柄が多いのも、そのためと言われます。
家紋にはもともと、家のしるしとしての役目があります。
そこに「長く栄えてほしい」という気持ちをこめやすかったのが、鶴という題材だったのかもしれません。
鶴紋の代表的な形
鶴紋には、たくさんの種類があります。
ここでは、よく目にする形を紹介します。
鶴の丸(つるのまる)
鶴が両方の翼を広げ、体全体で円をえがく形です。
頭と翼の先がまるくつながり、輪のように見えます。
鶴紋の中でもとくに知られた形で、整った美しさがあります。
舞鶴(まいづる)
翼を広げて舞う姿を正面からえがいた形です。
左右がほぼ対称で、堂々とした印象があります。
地名の「舞鶴」と同じ字ですが、家紋の名前としても使われています。
そのほかの形
- 飛び鶴(とびづる):空を飛ぶ横向きの姿
- 鶴菱(つるびし):鶴を菱形におさめた形
- 光琳鶴(こうりんづる):絵師の尾形光琳の画風にならった、やわらかな線の鶴
同じ鶴でも、線の太さや羽の数で印象が大きく変わります。
家紋帳(家紋の形を集めた本)を見くらべると、その細かな違いに驚くはずです。
鶴と亀を組み合わせた紋も
鶴紋の中には、亀や松と組み合わせた形もあります。
鶴と亀、松はどれも長寿を表すおめでたい題材です。
「鶴亀」や「松鶴」のような組み合わせは、お祝いの意味をさらに強めたものと考えられます。
家紋だけでなく、結納の品や祝い着の柄でもよく見かける組み合わせです。
南部氏と「向かい鶴」
鶴紋を使った武家として、よく名前があがるのが南部氏です。
南部氏は、いまの青森県東部から岩手県にかけてを治めた一族です。
江戸時代には盛岡藩の藩主をつとめました。
南部氏の家紋は「向かい鶴」です。
二羽の鶴が向かい合い、全体でまるい形をつくっています。
「南部鶴(なんぶづる)」とも呼ばれます。
なぜ南部氏が鶴を使うようになったのかは、いくつかの言い伝えがあります。
戦いの前に鶴が飛んできたのを吉兆と見た、という話も伝わっています。
ただ、はっきりした始まりはわかっていません。
「そう言われています」くらいの気持ちで受けとめるのがよいでしょう。
ほかにも、鶴紋を使った家はいくつもあります。
同じ鶴紋でも、家ごとに形が少しずつ違うのが家紋のおもしろいところです。
南部氏の流れをくむ家や、その家来だった家が、向かい鶴やそれに似た鶴紋を使うこともあったと言われます。
そのため、東北地方には鶴紋の家が比較的多い、という話を聞くこともあります。
ただし、家紋は時代とともに変わったり、ほかの家から受けついだりすることもあります。
鶴紋だから南部氏のゆかり、と決めつけることはできません。
自分の家の家紋を調べてみる
鶴紋の家に生まれた方は、ぜひ形の名前まで確かめてみてください。
「鶴の丸」なのか「舞鶴」なのかで、たどれる話が変わることもあります。
家紋は、お墓の墓石や、仏壇、古い着物の紋付きに残っていることが多いです。
まずは家にあるものを見てみましょう。
わからなければ、親や祖父母に「うちの家紋って何?」と聞いてみるのも一つの方法です。
家紋の形や種類をもっと知りたい方は、家紋の一覧と調べ方もあわせて読んでみてください。
小さなしるしの中に、ご先祖さまの願いが見えてくるかもしれません。
文・つっちー



