茗荷紋の意味と由来|「冥加」に通じる紋の種類と使った家
茗荷紋の意味と由来をやさしく解説します。茗荷は「冥加(みょうが)」と同じ音で、神仏の守りを願う紋として寺社で好まれました。杏葉紋との関係、摩多羅神の神紋、抱き茗荷などの種類、田村家など使った家をまとめました。

茗荷紋(みょうがもん)は、食べものの茗荷(ミョウガ)の花を図にした家紋です。「茗荷」は「冥加(みょうが)」と同じ音なので、縁起のよい紋とされてきました。
冥加とは、神さまや仏さまが知らないうちに守ってくれること。茗荷紋は、その守りを願う紋として、寺や神社でもよく使われています。
茗荷紋の意味と由来
茗荷紋の由来には、二つの見方があります。
冥加に通じる縁起の紋
一つは、音のつながりです。「みょうが」という音が「冥加」に通じることから、神仏の守りを願って使われるようになった、と言われます。「冥加に尽きる(ありがたいことだ)」という言い方にも、この言葉が残っています。
杏葉紋から変わったという説
もう一つは、形のつながりです。昔、馬の飾りに「杏葉(ぎょうよう)」という金具がありました。これを図にした「杏葉紋」は、茗荷紋ととてもよく似ています。そのため、茗荷紋は杏葉紋から変わってできた、という説があります。
佐賀の鍋島家の紋は杏葉紋です。茗荷紋とまちがえられやすいのですが、別の紋として扱われます。
茗荷紋の種類
茗荷紋は、70種類以上あると言われます。代表的なものはこちらです。
- 抱き茗荷(だきみょうが) … 二つの茗荷が、向かい合って丸く抱き合う形。いちばんよく見かける形です
- 丸に抱き茗荷 … 抱き茗荷を丸で囲んだ形
- 違い茗荷 … 二つの茗荷を交差させた形
- 三つ茗荷 … 三つの茗荷を組み合わせた形
茗荷紋は、十大家紋(じゅうだいかもん。とくに多く使われる十の家紋)の一つに数えられています。
形を見るときは、茗荷のふくらみと、すじの描き方に注目してください。ふっくらした花の部分に、たてのすじが何本も入っているのが茗荷紋の特ちょうです。
ほかの紋と組み合わせた形もあります。井桁の中に抱き茗荷を入れたもの、亀甲(きっこう。六角形)の中に入れたものなどです。家の紋を調べるときは、外側の枠の形も見ておきましょう。
茗荷紋を使った家と、寺社とのつながり
使った家
家紋として古い記録に出てくるのは、室町時代の『見聞諸家紋(けんもんしょかもん)』に載る二宮氏が最初とされます。
江戸時代の大名では、陸奥一関藩の田村家が知られています。田村家の茗荷は「田村茗荷」「一関茗荷」と呼ばれます。ほかに「稲垣茗荷」という名前の紋もあり、家の名前がついた茗荷紋がいくつもあります。
摩多羅神の神紋
茗荷紋は、天台宗の寺でまつられる摩多羅神(またらじん)という神さまの紋として使われてきました。摩多羅神は、平安時代の僧・円仁(えんにん)が唐(今の中国)から持ち帰ったと伝えられる神さまです。
日光東照宮にも摩多羅神がまつられました。そのため、祭りのみこしには茗荷紋がつくようになり、これをきっかけに茗荷紋が広まったとも言われます。
寺や神社で茗荷紋を見かけることがあるのは、こうした信仰のつながりがあるためです。天台宗の寺の幕や、祭りの道具に、茗荷の紋がついていることもあります。
茗荷紋は、武家だけでなく、神仏の守りを願う人々のあいだにも広まりました。音の縁起と、寺社の信仰。この二つが、茗荷紋を十大家紋に数えられるほど多い紋にしたと考えられます。
よくある質問
茗荷を食べると物忘れするから、縁起が悪い?
茗荷を食べると物忘れする、という話は昔からの言い伝えです。紋の意味とは関係ありません。茗荷紋は、むしろ「冥加」に通じる縁起のよい紋とされてきました。
茗荷紋と杏葉紋は、どう見分ける?
形がよく似ていて、見分けにくい紋です。家の紋の正しい名前は、お墓や古い着物、家に残る記録で確かめるのがいちばんです。
今日の一歩
今日の夕ごはんに茗荷があったら、ひとつ縦に見てみてください。ふっくらした形が、紋の茗荷とよく似ています。
わが家の紋も茗荷かもしれません。苗字から家紋を引くで、名字に多い家紋を調べてみましょう。
文・つっちー



