家紋の「丸に」「隅立て」「陰」の意味|描き方のちがい
家紋の「丸に」「隅立て」「陰」「中陰」の意味をやさしく解説します。同じ紋でも、輪をつけたり、向きを変えたり、線だけで描いたりすると呼び名が変わります。日向紋との格のちがいや、わが家の紋の正しい呼び方の調べ方も紹介します。

家紋の名前には「丸に橘」「隅立て四つ目」「陰蔦(かげつた)」のように、紋の名前の前にことばがつくことがあります。これは、同じ紋をどう描くかをあらわす言葉です。
「丸に」は輪で囲むこと、「隅立て」は角を上に立てること、「陰」は線だけで描くことを意味します。
「丸に」の意味|輪で囲む描き方
いちばんよく見るのが「丸に〇〇」です。もとの紋のまわりに、輪をつけた形をいいます。
輪の太さによって、呼び名が変わります。
- 太輪(ふとわ) … 太い輪
- 中輪(ちゅうわ) … ふつうの太さの輪
- 細輪(ほそわ) … 細い輪
- 糸輪(いとわ) … 糸のように細い輪
輪のほかにも、四角で囲む「角(かく)」、六角形の「亀甲(きっこう)」、雪の結晶の形の「雪輪(ゆきわ)」などの囲み方があります。
なぜ丸をつけたのかについては、「分家が本家と区別するためにつけた」という話もよく聞きます。ただ、これは決まりではありません。形を整えるためや、着物に入れたときの見ばえのためなど、理由は家によってさまざまだったと考えられます。
「隅立て」の意味|角を上に立てる置き方
「隅立て(すみたて)」は、四角い形の紋を、角が上に来るように置く描き方です。ひし形のように見えます。
たとえば「四つ目」という紋は、四つの四角を並べた形です。
- 平四つ目(ひらよつめ) … 四角の辺が上にくる、ふつうの置き方
- 隅立て四つ目 … 角が上にくる置き方
同じ四つの四角でも、置き方ひとつで別の紋として呼ばれます。四角をもとにした紋を見たら、辺が上か、角が上かを確かめてみましょう。
「陰」「中陰」の意味|日向紋とのちがい
紋の描き方には、色のぬり方のちがいもあります。
- 日向紋(ひなたもん) … 形を白くぬりつぶした、いちばん基本の描き方
- 陰紋(かげもん) … 形のふちだけを細い線で描いた描き方
- 中陰(ちゅうかげ) … 陰紋より、線を太くした描き方
着物の紋では、日向紋がいちばん正式とされ、陰紋は少しくだけた場で使うものとされてきました。中陰はその間です。
ほかにも、紋を入れる場所を白い丸でぬいておく「石持(こくもち)」という形もあります。あとから紋を描き入れるためのものです。
組み合わせて名前ができる
これらの言葉は、組み合わせて使います。たとえば「丸に隅立て四つ目」なら、輪の中に、角を立てた四つ目が入った紋です。
名前を前から順に読むと、どんな形かが見えてきます。
ほかにも、紋の名前にはよく次のような言葉がつきます。
- 三つ盛り … 同じ形を三つ、山のように積んだ形
- 向かい … 同じ形を二つ、向かい合わせた形
- 抱き(だき) … 二つの葉などで、左右から抱えこむ形
- 違い(ちがい) … 二つの形を、ななめに交差させた形
「抱き茗荷(だきみょうが)」「違い鷹の羽(ちがいたかのは)」のように使います。言葉の意味を知っておくと、初めて見る紋の名前でも、形を思いうかべやすくなります。
名前が長くても、こわがる必要はありません。「囲み方」「置き方」「ぬり方」「もとの紋」の順に分けて読めば、たいていの紋は形がわかります。
よくある質問
「丸に」がついた紋と、つかない紋は別の家紋ですか?
同じもとの紋から生まれた仲間ですが、紋としては別のものとして扱われます。お墓や着物に入れるときは、輪のあるなしまでそろえるのが安心です。
陰紋を使うのは失礼ですか?
失礼ではありません。陰紋は、日向紋よりくだけた場に向くとされる描き方です。どの紋を使うかは、地域や家によっても考え方が違います。
今日の一歩
お墓や仏壇、古い着物の紋を写真にとって、「輪はあるか」「角が上か」「線だけか」の三つを見てみましょう。それだけで、正しい呼び名にぐっと近づきます。
もとの紋の名前がわからないときは、苗字から家紋を引くで、似た形の紋を探してみてください。
文・つっちー



