片喰紋(かたばみ紋)の意味と由来|小さな草にこめた願い
片喰紋(かたばみ紋)の意味と由来をやさしく解説します。道ばたに生える草・カタバミを図にした家紋で、強い生命力から、家が絶えず栄えるようにという願いがこめられたと言われます。種類や使った武将も紹介します。

片喰紋(かたばみもん)は、道ばたや庭に生える小さな草「カタバミ」の葉を図にした家紋です。ハートの形をした三枚の葉が、まん中から広がっています。
カタバミは、抜いても抜いてもまた生えてくる、強い草です。その生命力から、家がずっと続き、子孫が栄えるようにという願いがこめられたと言われます。
カタバミとはどんな草?
カタバミは、春から秋にかけて、黄色い小さな花を咲かせる草です。クローバーに似た三枚の葉をつけます。
名前の由来には、こんな説があります。
- 夜になると葉が閉じて、片側が食べられたように見えるから「片喰(かたばみ)」
漢字では「片喰」「酢漿草」などと書きます。家紋の名前には、「片喰」の字がよく使われます。葉や茎をかむと、すっぱい味がすることでも知られています。
庭の手入れをしたことがある人なら、「すぐに増えて困る草」として知っているかもしれません。地面をはうように広がり、根が残るとまた生えてきます。その強さこそが、家紋に選ばれた理由と考えられています。
片喰紋の意味と由来
家が栄えるように
カタバミは、一度根づくとどんどん広がり、なかなか絶えません。この強さが「家が絶えない」「子孫が増えて栄える」という願いに重ねられたと言われます。
武士に好まれた理由
カタバミは「鳩酢草」と書かれることもあり、武の神の使いとされる鳩と結びつけて、武士に好まれたという話もあります。また、ハート形の葉が、魔よけの模様「猪の目(いのめ)」に似ているため、と考える人もいます。どれも言い伝えや説として受け止めてください。
とても多くの家で使われた紋
片喰紋は、多くの家が使った代表的な家紋の一つで、「十大家紋」の一つに数えられることもあります。形がシンプルで、まねしやすく、広く使いやすかったことも、広まった理由と考えられます。
江戸時代になると、家紋は武家だけでなく、商人や農家にも広まりました。身近な草で、願いもわかりやすい片喰紋は、多くの家に選ばれたのでしょう。今でもお墓や喪服の紋で、よく見かける紋の一つです。
片喰紋の種類と使った武将
片喰紋には、いろいろな形があります。
- 片喰 … 三枚の葉だけの、基本の形
- 丸に片喰 … 片喰を丸で囲んだ形。よく見かける形の一つ
- 剣片喰(けんかたばみ) … 葉と葉の間に、剣の形をはさんだもの
- 七つ片喰 … 片喰を七つ組み合わせた形
ほかにも、片喰を三つ組み合わせた「三つ盛り片喰」や、葉のふちを線だけで描いた形など、細かな変化をつけた紋がたくさんあります。
剣をはさんだ形は、武家らしい強さを加えたものと言われます。同じ片喰紋でも、丸で囲むか、剣を入れるかで、ずいぶん印象が変わります。
使った武将としては、次のような人が知られています。
- 長宗我部元親(ちょうそかべ もとちか) … 四国の戦国大名。七つ片喰を使いました。盃(さかずき)に浮かんだカタバミの葉にちなむ、という言い伝えがあります
- 酒井忠次(さかい ただつぐ) … 徳川家康の重臣。酒井家は片喰紋で知られます
- 宇喜多秀家(うきた ひでいえ) … 剣片喰を使ったと言われます
よくある質問
片喰紋の家は、長宗我部家や酒井家の子孫?
そうとは限りません。片喰紋はとても多くの家で使われました。同じ紋でも、家ごとに由来はちがいます。
片喰紋は縁起がいいの?
家が続くように、という願いがこめられた紋と言われます。ただ、それは昔の人の思いを表したもので、紋によって運が決まるわけではありません。
今日の一歩
散歩のとき、道ばたやプランターのすみに目をやってみてください。ハートの葉をつけたカタバミが、きっと見つかります。家紋のもとになった草を、じっくり見てみましょう。
家紋の形を、人の姿に描きなおしてみる楽しみ方もあります。家紋を人にするで試してみてください。
文・つっちー



