柏紋の意味と由来|三つ柏の種類と神職・山内家の紋
柏紋の意味と由来をやさしく解説します。柏の葉は、昔は神さまへの食べ物を盛る器として使われ、柏紋は神職の家に多い紋とされます。三つ柏などの種類、山内家・牧野家など使った家、多賀大社の神紋の言い伝えまでまとめました。

柏紋(かしわもん)は、柏(カシワ)の葉を図にした家紋です。柏の葉は、昔、神さまにささげる食べ物を盛る器として使われていました。そのため柏紋は、神社に仕える神職の家に多い紋とされています。
十大家紋(じゅうだいかもん。とくに多く使われる十の家紋)の一つで、なかでも三枚の葉を組み合わせた「三つ柏」がよく知られています。
柏紋の由来 神さまの食べ物を盛った葉
カシワは、大きな葉をもつ木です。柏餅を包む葉といえば、思い浮かぶ人も多いでしょう。
まだ焼きものの器が少なかったころ、人は大きな葉に食べ物を盛っていました。とくに神さまへのおそなえには、柏などの葉が使われたと言われます。食べ物を盛る器や、食事を用意する役目を「かしわで」と呼ぶのは、その名残と考えられています。神社で手を打つ「柏手(かしわで)」の名前も、ここから来たという説があります。
また、柏の葉は、新しい芽が出るまで古い葉が落ちにくい木です。そこから「家が絶えない」縁起のよい木とも言われます。
柏紋の種類
柏紋は、葉の数や組み方でいろいろな形があります。
- 三つ柏 … 三枚の葉を、軸を中心に組み合わせた形。いちばんよく見かけます
- 丸に三つ柏 … 三つ柏を丸で囲んだ形
- 抱き柏 … 二枚の葉で、丸く抱くようにした形
- 土佐柏(とさがしわ) … 土佐藩・山内家の三つ柏。細めの葉が特ちょうです
三つ柏には、葉の筋(葉脈)が片側3本のものと4本のものがあります。家によって形がちがうので、自分の家の紋を確かめるときは、葉の筋の数も見てみてください。
柏の葉は、ふちが波のようにうねっているのが特ちょうです。紋でも、このうねりがはっきり描かれます。似た紋に「梶(かじ)の葉」がありますが、梶の葉は、葉がいくつかに分かれた形で描かれることが多く、柏とは形がちがいます。
柏紋は、三菱のマークのもとになったとも言われます。土佐の山内家の三つ柏と、創業者・岩崎家の紋を合わせたものだ、という説です。
柏紋を使った家と神社
神職の家
柏紋は、古くから神職の家に多い紋とされます。熱田神宮(名古屋)の宮司の家だった千秋家(せんしゅうけ)や、出雲の日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)の宮司の家・小野家が、柏紋を使った家として知られています。
大名の家
武家では、土佐藩主の山内家と、越後長岡藩主の牧野家が柏紋を使いました。山内家の三つ柏は「土佐柏」と呼ばれます。
多賀大社の神紋
滋賀県の多賀大社(たがたいしゃ)は、「虫くい折れ柏」という柏の紋を神紋の一つにしています。
これには言い伝えがあります。鎌倉時代、奈良の東大寺を建て直そうとしていた僧・重源(ちょうげん)が多賀社にお参りしたところ、虫に食われた柏の葉が一枚落ちてきました。その虫食いの跡が「莚」の字に見え、それを「廿(二十)」と「延」に分けて「命が二十年のびる」と読んだ、という話です。
重源はこれを神さまのお告げと受けとめ、その後も東大寺の再建にはげんだと伝えられます。柏の葉一枚に、長い命への願いが重ねられた言い伝えです。
このように柏紋は、神社や神さまとの結びつきが強い紋です。家の紋が柏なら、地元の神社とのつながりを家族に聞いてみるのも、家の歴史をたどる手がかりになります。
よくある質問
家紋が柏なら、神主の家?
そうとは限りません。柏紋は、のちに多くの家へ広まりました。神職の家に多い紋ですが、紋だけで先祖の仕事は決められません。
三つ柏の「葉の筋の数」で何がわかる?
家ごとの紋の形のちがいがわかります。親せきの家の紋と見くらべると、同じ形かどうかの手がかりになります。
今日の一歩
5月の子どもの日のころ、柏餅を食べる機会があったら、包んでいる葉をじっくり見てみてください。その葉の形が、柏紋のもとになっています。
わが家の紋も柏かもしれません。苗字から家紋を引くで、名字に多い家紋を調べてみましょう。
文・つっちー



